2023年02月15日 耐震
【微動探査】~地盤編(前半)~

みつやまです。人生で初めてブログを書きます。
私がハウスメーカーに務めている時のお施主様で、住宅系のブログを継続して書き続けていらっしゃっる方がいます。8年目に突入したということで、本当にすごいと思うばかりです。私もこれから少しずつブログを書いていけたらと思っています。
そんな人生初ブログの内容は、先日行った「微動探査」について書いてみようと思います。
「微動探査」とは?
地盤調査として一般的に行われる調査は、SWS試験(スクリューウェイト貫入試験、旧スウェーデン式サウンディング試験)といい、地盤にロッド(鉄の棒)を垂直に刺し、回転をかけながら掘り進め、地盤の固さや締まりを測定します。建物配置の四隅と中心の5点を調査することが一般的で、深さ10mまで調べていきます。その間に固い地盤があれば測定終了となります。
一方「微動探査(常時微動探査)」は、人が感じないくらいの揺れを探査する最近注目されている調査法です。食パン一斤ほどの大きさの微動計(高精度の地震計)を地面や建物の床に置き、常時微動観測を行います。地震時に地盤がどのように揺れるか、また、住宅の耐震性能を実測して数値化することも可能です。
先程のSWS試験のように地面に穴を開けたり大きな機材を使ったりしないので、非破壊で調査可能となりますので既築住宅の調査も可能です。

出典:株式会社Be-Do
「微動探査」で分かること
① 地震時の地盤の揺れやすさ
固い地盤は揺れの幅が小さく、やわらかい地盤は揺れの幅が大きくなります。その土地の揺れ幅を計測出来ます。
② 地盤の卓越周期
地盤は周期に特徴があるようで、最も強く特徴が出ている周期を卓越周期といいます。その地盤上に建っている建物が持っている固有周期と、地盤の卓越周期が一致すると「共振」という揺れが大きくなる現象が発生します。
③ S波速度構造
地盤の硬軟によって、振動の伝わる速度が変わります。微動探査では30mの深さまでの地盤の硬軟を計測することが可能です。
「微動探査」を依頼してみた
今現在、近畿地方で微動探査の測定ができる企業は滋賀に一社だけで、今回はわざわざ東京からBe-Doさまにお越し頂くことになりました。戸成社長ありがとうございます。
実際の測定写真がこちら。


あとは待つだけ。という簡単な測定でした。
「微動探査」の結果
1週間ほどで結果のレポートが届きました。
その内容の一部がこちら。


① 地震時の地盤の揺れやすさ
→増幅度が2.18と高くE判定。揺れやすい地盤ということが判明。
② 地盤の卓越周期
→0.64秒でb判定。共振の可能性があるということが判明。
③ S波速度構造
→30m平均S波速度、160m/S。緩い地盤ということが判明。
地震時に揺れやすく共振しやすいという結果が出てきました。今回計画している建物は狭小3階建て+屋上ペントハウス付きということもあり、不安が残る結果となってしまいました。
結果を踏まえて
一般的な地盤調査では地盤の硬軟しかわからず、軟弱な地盤の場合は地盤改良をし、不同沈下が起こらない様にするだけになってしまいます。微動探査をすることで地震時の揺れを想定し、共振が起こる可能性を数値化。起こりうるリスクに対して対策を講じることが可能となります。
今回、対策として考えた方法が
① 地盤そのものを固くする地盤改良「砕石パイル工法」を採用する。
地盤改良を柱状改良ではなく、砕石パイル工法を採用。地盤そのものを固くし、共振を和らげる地盤改良の工法を検討する。
賛否あるので実際のところどうなんでしょう。砕石パイル×微動探査の結果がどうなるかも検証してみたいですね。どこまで地盤が強くなるのか、気になりますね。戸成さんにデータ取ったことあるか聞いてみよう。
② 高耐震+制振ダンパーで建物の揺れを最小限にする。
建物を高耐震にし、わずかな揺れにも効果を発揮するオイル式の制振ダンパーを採用することにより、建物の揺れを軽減させる。
今回の物件では、条件が悪く砕石パイル工法は採用できませんでしたが、制振ダンパーを採用することになりました。
後日、建物の微動探査も行い、結果も出ていますので、近いうちにその内容も投稿したいと思います。お楽しみに。
また、岡本工務店では耐震リフォームもお請けしますので、既築住宅の耐震実測として「微動探査」を取り入れていきたいと思います。今までの耐震診断は、目視などで診断の根拠が不十分と感じていましたが、実測し数値化が可能になりますので取り入れたいと思います。
以上、初ブログとなりました。かなり時間がかかってしまいました。改めて、、、8年、、、、凄いです。